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食べる[特集]

「加賀温泉郷 冬の味」

「加賀温泉郷で美味いものを一つだけ挙げるなら?」と聞かれると、「一つだけ」という答えに躊躇する地元の人は多い。
風土と食文化に恵まれた加賀温泉郷には「美味い」と言えるものが数多くあり、また、その殆どが日常の食事に溶け込んでいる為で、「加賀の地物はどれも美味い」という『自負』と、「もう一つの金沢」・加賀温泉郷に残る『奥ゆかしさ』からともとれます。今回は敢えて、そんな「加賀温泉郷の食」からオススメの「冬の味」を幾つかご紹介いたします。

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加賀食のススメ 「加賀温泉郷 冬の味」

「加賀温泉郷で美味いものを一つだけ挙げるなら?」と聞かれると、「一つだけ」という答えに躊躇する地元の人は多い。
風土と食文化に恵まれた加賀温泉郷には「美味い」と言えるものが数多くあり、また、その殆どが日常の食事に溶け込んでいる為で、「加賀の地物はどれも美味い」という『自負』と、「もう一つの金沢」・加賀温泉郷に残る『奥ゆかしさ』からともとれます。
今回は敢えて、そんな「加賀温泉郷の食」からオススメの「冬の味」を幾つかご紹介いたします。

坂網鴨|「コレダ!コノ鴨ダ!」

  • (上段)坂網猟の鴨肉
  • (下段左)坂網猟のようす
  • (下段右)鴨じぶ鍋

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「坂網猟」伝統が生んだ究極の天然鴨料理

世界の一流シェフも認めた幻の天然鴨。
350年続く伝統猟で獲る「坂網鴨」だ。

江戸時代、加賀・大聖寺藩の武士の鍛錬として盛んであった「坂網猟」。細い竹をY字に組んだ長さ3mほどの網を空に投げ上げて鴨を獲る伝統猟で、今では宮崎と加賀などでわずかに残るだけ。使うのは「坂網」、投げ上げる腕力、五感というシンプルな猟です
が、一瞬を見逃さない集中力と熟練の技が必要です。
猟期は冬場の数か月で、獲れる数もわずか200羽ほど。
片野鴨池では、銃猟を禁止し、乱獲せず、生態系を乱すことなく守り続けてきました。
この坂網で獲った鴨の価値は、その貴重さもさることながら、ジビエならではの美味しさにあります。
空腹時の鴨を傷つけずに捕獲するので、内臓から臭みも出ず、肉は柔らかく弾力性に富み、初めて口にした人は「えっ、これが鴨?」とみなさん驚きます。
それこそ滋味と呼べる深い味があるからです

酒|風土が生む芳醇な酒

  • (上段)加賀温泉郷の地酒
  • (下段左)酒米栽培田
  • (下段右)仕込み蔵
  • 白山が恵む水・米・雪がはぐくむ加賀の酒は、冬景色の中で味わってほしい。

    全国を見ても焼酎より日本酒の消費量が多いのは北陸だけです。
    しかも量だけではなく吟醸酒や純米酒など高級酒の比率がとても高い。
    これは、北陸特有の気候風土に加え、加賀百万石の気質や食文化が背景にあるようです。
    たとえば琥珀色をした山廃純米酒のしっかりした味は、脂が乗った日本海の魚や、「かぶら寿し」「へしこ」などの発酵食品によく合うことがその一例でしょう。
    年の瀬には待ちかねた新酒がいよいよ登場。
    ひいきにする蔵の今年の出来はどうかと胸が高鳴ります。
    この時期の限定と言えば「無濾過しぼりたて」。
    口に含めば米の旨みと香りが一気に弾け、無意識のうちに酒を噛むようにして、ゆっくりゆっくりと味わうようになります。

    大鍋|かあちゃんの大鍋

  • (上段)振る舞い鍋のようす
  • (下段左)町人旅人亭
  • (下段右)かに甘えび大鍋
  • カラダもココロも温もる、かあちゃんたちの振る舞い鍋。

    今や山中温泉の冬の名物となった大鍋の振る舞い。
    この鍋、テレビの料理番組で有名な地元出身の料理人、道場六三郎さんが味付けを指導しました。
    場所は観光客に人気の南町ゆげ街道「町人旅人亭」。
    振る舞うのは割烹着に頬かむり姿の女性たちで、山中漆器職人の奥さんたちで作る「かあちゃんの会」のメンバーです。
    秋から春までの5か月間、雨の日も雪の日も休まず毎日、軒先の特設テントでひとつひとつお椀によそってくれます。
    甘えびとカニが入って一杯200円。
    もちろん器は、ぬくもりのある山中漆器。
    あつあつの汁と、かあちゃんたちのおもてなしで、心も体も温まります。

    温泉たまご|温泉たまご味くらべ

  • (上段・下段左)温泉たまご
  • (下段右)温泉たまごソフトクリーム
  • 温泉成分が浸み込んだ白身プルプル、黄身ねっとりの半熟たまご。
    安いし、美味いし、保存も利く。

    加賀温泉郷のお土産の定番はなに?と聞かれれば、「それは温泉玉子です」と答えます。
    人によっては好き嫌いもあるでしょうが、財布にも優しく、もらう人も毎日のおかずに使えて重宝します。
    5時間から8時間じっくりと源泉に浸けて作るので、温泉成分がじわーっとしみ込んでとてもコクがあります。この味は家庭の水道水ではできませんね。
    しかも、常温で冬3週間、夏でも2週間もつので、あわてて食べなくても大丈夫。
    各温泉の成分で少しずつ味が違うから食べくらべてみるのも面白いです「片山津バーガー」「温玉プリン」「温泉たまごソフト」といった、温泉玉子を使ったスイーツやご当地グルメもたくさんあります。
    はたして想像を超える味なのか、現地でぜひトライしてみてください。

    蟹|越前ガニVS橋立ずわい

  • (下段左)コウバコガニ(香箱蟹)
  • (下段右)橋立漁港
  • 相並ぶ両雄。橋立港ずわいがにと、三国湊の越前ガニは、じつは同じ場所で獲っていました。

    冬の日本海といえば、荒波と王者ズワイガニ。石川県
    で水揚げされたものは「加能がに」と呼び、脚に青色のタグがつけられますが、中でも橋立漁港産は「加賀橋立港ずわいがに」として県内でも最上級です。
    一方、隣りの福井県には、天皇に毎年献上するブランド蟹で有名な三国湊の「越前ガニ」があります。
    じつは、この二つ蟹がほぼ同じ漁場で捕っていることは、あまり知られていません。
    この両者の旨さの理由は、暖流と寒流がぶつかり合う餌の豊富な生育環境と、港から
    漁場までが近く、蟹を獲ってその日のうちに競りにかけるため鮮度が良いこと。
    だから橋立産のズワイガニの足には、もう一つ黒地に金の文字で橋立港と記したタグが付けられます。
    「高いがそれだけのことはある」この評判を守るため、漁師も料理屋も「橋立」のプライドをかけています。

    福梅|初春の縁起もの福梅

  • (上段)福梅
  • (下段左)実性院座禅堂
  • (下段右)大聖寺藩関所
  • めでたい紅白梅に淡雪。
    加賀の正月ではみんな必ず食べます。

    正月の菓子といえば福梅。
    加賀藩主前田家の家紋「剣梅鉢」をかたどった紅白の最中で、年末になると金沢をはじめ加賀地方のほとんどの和菓子屋の店頭に並びます。
    福梅が置いてあるのを見て「あっ、もう正月か」と、地元の人々があわてて新年の準備を始めるくらい、加賀の初春を象徴する菓子です。
    雪化粧をした梅形の皮を割ると、粘りのある硬めのつぶ餡が現れます。
    日持ちも考え、水飴を加えてしっかりと練り上げた、濃厚な甘さの小豆餡は福梅独特のもの。
    菓子店それぞれの伝統や工夫を出して個性を競うのも、縁起物としての「福梅」が単なる最中とは違い、加賀人にとって特別な菓子である証といえます。

    ひもの|寒風仕込み一夜干し

  • (下段左)かれい一夜干し
  • 日本海の潮風が魚のうまみをぎゅっ!地元の食卓には寒づくりの干物。

    日本海の冬の味覚といえば王者ズワイガニですが、その高価さから地元の食卓にはなかなか登場しません。
    そこで、庶民が楽しみにしている隠れた美味が干物です。
    軽く塩水につけたあと、冷たい潮風にさらすことで、身はプリプリになり、アミノ酸などの旨み成分もぐっと増します。
    赤ガレイ、ハタハタ、メギスの一夜干しは、それぞれ特有の美味しさがあるので、毎日順番を変えながら繰り返し食べたいものです。
    中には珍しい深海魚のミズゴロク(ゲンゲ)の干物や、甘えび・トラエビの素干しもあります。
    橋立漁港近くの魚屋の軒先に魚が干してあったら、ぜひ買ってみましょう。
    干物とはいえ材料の魚は鮮度が命、時化が続けば作れません。
    買う前には、品定めもお忘れなく。

    大根寿し|毎日食べたい大根寿し

  • (上段)大根寿し
  • (下段左)かぶら寿し
  • 上品な味は、さすが加賀藩。
    かぶら寿しは殿さま好みで、庶民には大根寿し。

    金沢の正月料理といえば、知る人ぞ知る「かぶら寿し」。
    寿しといっても飯寿司(いずし)の仲間ですが、加賀前田家の手にかかれば上品な麹漬けに変身です。
    蕪の香りと舌触り、肉厚の鰤の食感と、生ハムを思わせる熟成味。
    甘味と塩味、旨み、香りが口の中で混然一体となり絶妙な調和をみせます。
    まさに殿様の味です。
    一方、庶民が食べるのは「大根寿し」。蕪の代わりに大根、高価な鰤の代わりに身欠き鰊を使います。
    こちらの味はストレートです。
    麹の甘みの次に、大根の
    ぱりぱりした食感と辛味、みがきニシン独特の旨みが次々に舌の上に現れてくる男性的な味わいです。
    雪カミナリ、鰤起こしと呼ばれる北陸の冬を告げる雷鳴がとどろきだすころが麹の出番。
    寒い時期にじっくりと熟成させ、おいしい酒や麹漬けが出来上がってきます。

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