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VOL.28 『緑に迎えられて』 Y.K

加賀市内のダム(九谷ダム)【山中温泉】

太陽の日差しも少しずつ強くなり、新緑の緑と、山吹のオレンジがかった黄色の花も、色鮮やかになり、山中温泉の山間部へ向う道路沿いも少しずつ色を重ねてきました。
今回は、身も心も緑に包まれようと思い、山中温泉の九谷ダムの方へ車を走らせました。

山の上の方の緑はまだ少なかったのですが、道路沿いは柔らかな新芽がたくさん見受けられ、色づいた道を走るのは心地よかったです。
この道を走ると祖父の家を思い出します。

幼少の頃、金沢に住んでいた私は週末になると祖父の家のある山中温泉のさらに奥へ向いました。

住んだことはない土地だけど毎週通った道なので、幼なかった私でも、四季折々の姿はよく覚えています。

春は桜並木、ゴールデンウィークは山吹の花、秋は紅葉、冬は水墨画のような雪景色。

子どもだった私は週末に、ここに来ることが、始めはあまり好きではありませんでした。

なぜかというと、自然での遊び方を知らない私にとって、いろいろな動物は出るし、お店はもちろん無い、テレビも山深いので、見れない、子ども心に「面白くないなぁ」なんて思っていたのですが、すこしずつ父親について、お手伝いをしながら遊んでいくうちに小さな楽しみができてきたのです。
それは、春は山菜取りでの山の匂い、夏は魚釣りでの川魚の感触、澄んだ深い川での川遊び、秋は柔らかい日差しを浴びながらのどんぐりや木の実拾い、冬は薪で炊いたもち米の餅つきなど、自然の恵みに直接触れられ、季節感が自然と身に付くことができました。
今考えるとなんて恵まれていたのだろうと思います。

そんなことを思い出しながらそうこうしているうちに、そこはもう九谷ダム。

車を降りて眺めていると、雲のあいまの青空のように澄んだ空気。

また、ちょうどダムは満水に近く、ふかい緑色と対面の山々が迫ってくるような感じで、清閑な感じを受けました。その風景を見ながら昔の面影を感じることができなかったけれど、緑と鳥のさえずりは昔のように優しく迎えてくれるようでした。将来、我が子にも私が感じた感覚を少しでも伝えられよう季節ごとの素敵な場所に連れて行きたいと改めて考えさせられる一日でした。

(2005.5)

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