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5月29日、蟹ノ目山登山道開通式と記念登山に参加した。
「蟹ノ目山(がんのめやま)」とは、郷土の作家深田久弥が昭和の始め、大聖寺町体育協会の会報への寄稿「江沼の山について」の中に登場する。
「蟹ノ目山は、頂きに大木が2本あって、あたかも蟹の目のように見えた、これを訛ってガンの目山ともいう」とある。
標高は689m、東に大日山や白山、西に加賀平野から日本海への大展望が楽しめる。
この山はこれまで登山道がなく、積雪時にしか登ることが出来なかったが、昨年の秋、深田久弥を愛する会と加賀ハイキングクラブが協力し、ボランティアで登山道を開いた。実際の作業にあたったメンバーによれば、できるだけ鍬を入れず、樹木の伐採を制限、道幅も1mまでとし、山の自然を守ることを心がけたそうだ。
当日は朝8時から、山中町の荒谷町集会場で、式典と記念講演会が行われた。普段は住民36人の山間の村が車の列、人の列となった。懐かしい木造の講堂には、村の人たちも合わせ150人くらいが集まっただろうか。今年の10月に控える、山中町と加賀市との合併記念事業ということもあり、市長、町長も来賓として列席し祝辞を述べた。
続いて「登山道のまわりに」と題して、作家であり、深田久弥山の文化館館長でもある高田宏さんが記念講演を行った。
「おおよその山は登山道がなければ登れないもの。登山道がないのはエベレストクラスの山々。登山道を作るというのは大変なことなのです。」
「ひたすら前だけを向いてを登っていくのではなく、登山道のまわりにも五感を働かせながら登ってほしい。周囲の風景にはさまざまな驚きが潜んでいる。以前、恵那山登山中にヒノキの巨樹を発見したことがある。「神坂大桧」と名付け、巨木百選にも選ばれた。それも周囲に五感のアンテナを立てながら登っていたから気が付いたと思う。」
「登山道ができることの弊害もある。近年の中高年の登山ブーム。歩きやすい道が作られ、山に入りやすくなると、どっと人が押し寄せる。そして少なからず山の自然のバランスを壊していく。だから今は、登山道の作り方やメンテナンスの方法をよく考えなければいけない。便利すぎると大勢来てしまうし、かといって安全は確保しなければならない。そのバランスが難しい。」
最後は、登山道が木道となってしまった屋久島の現状を例に、ブームが巻き起こす登山道の変わりようにまで話は及んだ。
関係者によるテープカットのあと、9時半頃から出発。ざっとみても50人はいそうな大パーティでの登山となった。
先ほどの高田先生の講演、そして「避衆登山」を旨とした深田久弥の山登りとは皮肉にも正反対の登り方とはなったが、弾力のある腐葉土の道は足に心地良く、新緑のブナ林の中、遅咲きの石楠花を見つけたり、ナツツバキ、ホウの花に目をやりながら、いつものメンバーと賑やかで楽しい時間を過ごすことができた。
でも次は、ゆっくりと独りで登りたいかな・・・。いい山です。
(2005.6 M.O)