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vol.26 伝統を見る、食す。九谷焼の名品と鴨料理のミニツアー

2月12日、19日、26日の3回、旅まちネットが企画した冬のミニツアーを開催した。旧大聖寺藩の歴史と文化を訪ねるガイドツアーである。所要時間も3時間と手ごろで、昼食付きとあって3回ともすぐに定員いっぱいになった。コースは九谷焼美術館を鑑賞のあと、五百羅漢と芭蕉ゆかりの全昌寺へ。昼食には伝統の「坂網猟」で獲れた鴨治部をいただくという限定感の強い内容となっている。ちょうど「古九谷浪漫・華麗なる吉田屋展」の期間中で、九谷焼美術館は大勢の来館者で賑わっていた。聞き慣れないこの吉田屋という名前だが、あの至宝・古九谷を江戸後期に再興したのが吉田屋窯である。72歳にして私財を投じて復興させた大聖寺城下の豪商、豊田伝右衛門。その屋号か吉田屋であった。詳しくは吉田屋展のホームページをご覧になってほしい。ここから現在に至るまで続いている九谷焼の本流が始まったのである。

当日の参加者は、お茶人をはじめ焼物に興味のある方が集まっており、副館長で学芸員の中矢進一さんの解説に真剣に耳を傾けていた。日曜日ということもあり館内はたいへんな混雑であったが、列品の見どころをちょっと解説してもらうだけで本当に見方がガラリと変わる。その空気が伝わってか本人の周りはあっという間に人だかりとなった。さすがプロ、さすが専門家、さすが落研出身である。

前回の北前船と日本海の幸・橋立コースでも、古美術商である船主屋敷・蔵六園のご主人の解説付きであったように、やはりその道のプロ、生業にしている方の話はぐっと引き込まれる。焼物や仕事への愛情が伝わってくる一瞬などは、聞いているこちら側もいっしょに高揚してくる。このあたりのエンターテイメント感は、失礼だがボランティアガイドや、従来型のバスガイドまた団体客相手の観光地ガイドではなかなか出せない領域だろう。

旅先で出会う人、言葉や会話がその旅の印象の深さを決める。紋切り型の観光案内やサービスをどれだけ集めてもパッチワークのような記憶しか残らない。五感に染み込む時間をどう演出するか、これからますます観光業界のセンスが試されるだろう。旅の時間を印象深いものにしてくれる「味わい深い人」、今回のミニツアーはプロの懐の深さと余裕を改めて認識させてくれた。

(2006.3 M.O)

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