加賀とは?

TOP > 加賀四湯紀行 >歳時記 > vol.28 「みやび・ひなび」城下町の春遊び、三題。

vol.28  「みやび・ひなび」城下町の春遊び、三題。

去る4月9日の日曜日、気温9℃で花冷えの日、大聖寺の町では、「九谷茶会」、「桜まつり」、「水景めぐり」という、城下町らしい催しが同時に行われた。

「九谷茶会」。大聖寺藩は藩祖前田利治が九谷焼を世に誕生させた発祥の地、その歴史的・文化的意義を広く確かめ合おうと、3年前より開催している大寄せの茶会です。曹洞宗、日蓮宗の古刹が集まる山の下寺院群を舞台に今年は、裏千家、表千家、皇風煎茶礼式の三流派、そして小学生が亭主をつとめる子供茶席の4会場。約500人のお客様が訪れました。

「桜まつり」は、山の下寺院群の一角、加賀神明宮の春の例大祭。北陸の長い冬に終わりを告げ、桜花爛漫の春を迎える祭です。町内を巡行する神輿行列、獅子舞、巫女の神楽舞が家々の門先で奉納され、歴史ある町らしい光景です。夜は神社前の露店や、熊坂川沿いの250本の桜並木にボンボリが灯り華やいだ風情があります。

「水景めぐり」は、藩政時代には天然の堀であった旧大聖寺川を屋形船でのんびり下ろうという催しで、地元のまちづくりNPOが今年から始めたもの。町なかを蛇行して流れる川。屋形船のゆっくりとした速さ、川面から見上げる町の風景はいろんな気づきや発見があります。見たり、見られたりすることで住民や役所の意識も変わってくる、「だから川下りは、景観にいい、観光にいい、環境にいい」とは、仕掛け人の瀬戸さんの弁、(なるほど)。

1日に3つを回って、あらためて感じたのは大聖寺という町の特性だった。

歩いて全て取材ができる町の大きさ。物理的な距離だけではなく、道幅からくる家々の塀や生垣、樹木の見え方、質感がわかる距離。住民とのほどよい距離感。人間のスケールにちょうど合っている町だと思う。

もうひとつ、これが大聖寺の特質だと思うのは、のどかさと風雅さが融合していること。海、山、里に囲まれた田舎の町なのに、金沢が創り上げた加賀文化が色濃く影響している。本来なら正反対である「みやび」と「ひなび」の両方を持っている町。のどかで素朴でありながら芯に気品がある。和菓子「福文」のご主人の言葉を思い出した。「みやびるよりも、上品にひなびることのほうが難しい。いつも自然の移ろいが身近にある大聖寺だからできること。これが金沢との違いですね」。大聖寺の格好よさはそれに尽きるように思う。

(2006.5 M.O)

このページのトップへ