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vol.33『「眼福、口福」。山代温泉食談義はじまる。』

山代温泉では「遊子五彩」と称した取り組みが行なわれている。4年前より温泉商店街の面々が、各々の店内の一角に地元九谷焼作家のミニギャラリーをつくり、観光客に九谷焼をめぐるスタンプラリーを楽しんでもらおうというもの。現在、開始当初の10倍の利用者となり、景品のソフトクリームが追いつかず嬉しい悲鳴をあげている。

 

一般にはまだあまり知られていないが、山代温泉は現代九谷焼の各様式の多くが生まれたところ。伝説の色絵磁器「古九谷」を蘇らせた再興九谷「吉田屋窯」が築かれて以来、連綿と名品を生み出してきた九谷焼のふるさとである。 この「遊子五彩」に、5月からは旅館が加わり、ミニギャラリーもついに50箇所となった。そして今回の「遊子五彩食談」がスタート。これから順次、各旅館で趣向を凝らした食談が行なわれていく予定だ。

写真は、嶋田寿楽窯の若主人で陶芸家の嶋田正則さんと、雄山閣総料理長の井上雅義さんを囲んでの食談義。参加者はまず、九谷窯跡展示館で嶋田さんから九谷焼の歴史や特徴について解説を受け、基礎知識を得てから食談会場に入るという流れ。初めての試みゆえ開宴早々は少し堅苦しい雰囲気だったが、お酒が進むにつれ、嶋田さんの人柄と興味深い話の数々に、参加者は徐々に引き込まれ会場は熱気を帯びていった。

「洋食器と和食器の違い。和食器、とくに色絵ものは料理を食べ終わったときに、はじめて器全体の絵が見えること。料理を盛って美しく、食後は鑑賞して楽しめる、それが和食器です」。また、「焼きものは2回仕上がるといいます。はじめは、作り手が焼き上げる1回め。そして、使い手によって真に器として仕上がるのが2回め。よい使い手にめぐり合うことがもっとも嬉しい」と嶋田さん。

夏休みの期間、市内にある山中、山代、片山津の各温泉では、毎晩、商店街のみんなで夜店を出して観光客を楽しませている。とくに山中温泉夏祭りは盛大で、温泉守護の長谷部神社境内を中心に、「ゆげ街道」沿道に夜店が並び、懐かしい射的、わたがし、富くじなどもあり、浴衣姿の観光客で参道はいっぱいだ。

「絵のインパクトがあるので、絵に負けないよう料理の色合いに気を遣った。食べ切り料理にして、食後に器を鑑賞できるようにした」と料理長の井上さん。 最後に主催者の松平さんがしめた。「山代が町全体で、みんなからひいきにしてもらえる温泉地になろうと、一丸となって向かっているところ。旅館も先頭に立ってがんばります」

旅館主も、商店主も、住民も、みんなで九谷焼を学び、使い、楽しみながら、「九谷焼のふるさと」が感じられる町へ、そんなスタートの日であったとしたらとても嬉しい。

(2006.10 M.O)

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