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vol.43 『祭りに見た「やまなかきずな」』

加賀温泉郷の祭りの最後は、9月22日と23日の山中温泉「こいこい祭」。山代は6月「菖蒲湯まつり」、片山津は8月「湯のまつり」、粟津は8月「おっしょべまつり」、それぞれ歴史や趣向が違うが、とりわけ町民の盛り上がり方がすごいのが、山中のこいこい祭だ。町民参加のプログラムが目白押しで、金と朱の巨大獅子頭を担ぐ「湯女みこし」と「若衆みこし」、山中漆器の大椀を乗せた「おわんみこし」、中学生が担ぐ長さ10mの大獅子、そして白山神社の御神体が乗る「初老みこし」がある。正午過ぎ、町の中心にある菊の湯前に五基のみこしが勢揃いする光景は壮観そのもの。連夜の山中節輪踊りには、各町内が競って参加し、昼夜となく町民総出の賑わいが続く。

 

さて、こいこい祭の毎年の花形といえば、なんといっても「初老みこし」だろう。その年に数え42歳の初老を迎えた男子同級生が担ぐことになっている。だから一生に1回だけ。同年の会という集まりで、学年によって生まれ年にちなんだ名前を付けたりする。たとえば昭和34年〜35年生まれの学年なら「みよい会」とか、その次なら「三五六会」といったふうに代々続いている。

今年の主役は昭和42年と43年生まれの同級生30名。会の名は「暦承会」といい、「時を受け継ぐ」の意味を込めたそうだ。年ごとに独自の法被を仕立てるのだが、今年の暦承会は白生地に墨文字一色。呉服屋のメンバーがいるので立派な紬の生地を使い、文字はあの料理の鉄人・道場六三郎筆とのこと。歴代の法被の中でも最高に美しいデザインだ。

 

この同年の会、初老を迎えた年に、いくつもの「厄払い」の行事をやるため、30歳の頃からみんなで積み立てをする。その額はなんと1千万円を超える。もちろん、お伊勢参りをしたり、町に寄付をしたりするのだが、やはりこの「こいこい祭」がフィナーレなので、パーッと使う。総湯「菊の湯」前、祭りの一等地に家一軒分はあろう巨大なテントで本陣を開き、祭りの2日間は昼夜を問わず酒や肴を振る舞う。みんなそこで寝泊りする。裏の大きな台所では、奥さんたちも酒や食事の準備におおわらわである。

2日間ぶっ通しの神輿巡行、そのあとの恒例の餅撒きは、やぐらの上から観衆めがけて1万2千個を一気に撒く。大抽選会では旅行券や大型液晶テレビなどの豪華賞品が目白押しで、息つく暇もないほど次々と大判振る舞いをする。

 

こうやって書くと派手さばかりが伝わってしまいそうだが、じつはこの慣習が山中温泉の団結力を生む源泉のひとつにもなっている。中学校を卒業し高校へ、ある者は大学へ、ある者は社会人となって、各々の道を歩み出していく。家庭を持ち、子供を持つ。都会に出たものもいる。それぞれの社会関係を築く頃に、昔の仲間がひとつの目的のためにふたたび故郷に集まる。少し年を取ったが、みんな面影がある懐かしい顔ばかり、中学時代の光景が一気によみがえってくる。

 

(ここで、山中温泉のとあるブログから)

初老の祭を終えて家に帰ると、親にも嫁さんにも家族にも素直に「ありがとう」と言えるようになる。

みんなに支えてもらわんと4日も5日も家からっぽにして初老行事を全うできんもんな。もちろん仲間にも感謝、感謝です。

山中温泉の初老行事は本当の意味での成人式みたいなもの

成人式の時は親が衣装を用意してくれ役場が式典を用意。

初老はお金の積み立て、計画、実行、すべて自分たちです。

いやあ良い「成人式」でした。

 

祭りを終え、関係者へお礼のコメントを寄せた今年の会長K君への、先輩Mさんからのメッセージである。

そう、この初老みこしを町のみんなに見てもらってはじめて大人の仲間入りができる。親も先輩たちも、厳しくも温かく見守ってくれる。後輩たちは手伝いをしながらいろんなことを学んでいく。

祭りを通して、世代のタテにもヨコにも見事な絆が見える。この「山中絆」が町の魅力そのものだ。

(2007.9 M.O)

 

山中絆が見たい人は、

山中温泉ブログ村 http://www.esowa.co.jp/yunohon/blog.htm

 

 

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