加賀とは?
TOP > 加賀四湯紀行 > 歳時記 > vol.45 『年越し間近。新年を迎える加賀の点景』vol.45 『年越し間近。新年を迎える加賀の点景』
「もうやがて年の瀬や、なんや一年がはやいねえ。
と、いつもの朝風呂仲間たちと、お決まりの挨拶を交わす頃になった。いやホントにはやい。身辺の環境がそうさせるのか、年齢と共に速くなるのか、どちらにせよ年々速くなっている気がする。
毎日行く山代温泉総湯の前に、今年は立派な門松がお目見えした。高さ2mはあろうか、立て札には「山代温泉炭焼保存会」贈呈と書いてある。恥ずかしながら、そんな会があることを知らなかった。今度折をみて番台で聞いてみよう。
ここ加賀の温泉地は、10月半ばから年明けまでが一年で最も忙しい時期。秋の行楽シーズンをピークに、12月に入ると忘年会が始まり、続いて学校の冬休み、クリスマス、そして大晦日から年明けのお客さまと息つく暇がない。
どの旅館もクリスマスが過ぎるとにわかに正月の準備にとりかかる。町のあちこちにも、新年が間近なことを知らせる風物を見かけるようになる。
温泉の守護である「お薬師さん」の山門には、元旦の護摩行のお知らせが掛かり、迎える一年の町内安全と温泉の繁栄を祈祷する。温泉地ならではの新年恒例の行事となっている。
町の花屋さんもこれからが書き入れ時となる。各旅館では玄関から客室にいたるまで新春のしつらえに変えるが、中でも重要な役をするのが活け花。旅館に出入りする花屋の軒先には、大小さまざまな形の「若松」が、うずたかく積み上げられ、これからの忙しさのほどを物語っている。
もうひとつ、加賀地方の正月といえば「福梅(ふくうめ)」がある。前田家の家紋である「梅鉢紋」に由来する縁起菓子で、梅の形をした紅白の最中で、小豆に水飴を加え、ていねいに練った粘りのある硬めの餡と、梅花に淡雪を模した厚めの皮が特徴だ。和菓子屋それぞれの味を守り続けている。
子供の頃、元旦の朝、家族みんなで神棚に向って初参りをしたあと、父親が「さ、縁起ものやから食べなさい」と言ってみんなに福梅を一つずつ配ってくれた。親もとを離れてから、いつのまにかその儀式もやらなくなったが、子ども心に一個の福梅がとても改まった清々しい気分にさせてくれた記憶がある。
年末年始に加賀温泉郷へお越しになるお客さま。各温泉のお薬師にお参りしたあと、お部屋で「福梅」をいただく。加賀ならではの縁起物、年始めをぜひ体験してください。
ではみなさん、良いお年をお迎えください。
(2007.12 M.O)