加賀とは?
TOP > 加賀四湯紀行 > 歳時記 > vol.46 『初春の清め、願い。2008年』vol.46 『初春の清め、願い。2008年』
「お正月はゆっくりできましたか」と、新年のご挨拶をするたびに尋ねられる。「ハハハ、実はうちは休みがないんですよ」と答えると、「えっ、そうなの」といつも相手が戸惑ってしまう。
温泉地にとっては一年で最も忙しい時期、当然私のいる観光情報センターも大忙しになるので年末年始も休みがありません。スタッフが交代しながら一日か二日、なんとか家族と一緒に過ごせるといった程度で、センターを預かる身としては、事務所スタッフとその家族の皆さんに、これまた一年でいちばん申し訳なく思う時期でもあります。
今の仕事に就く前を思い返してみると、年の瀬をあわただしく過ごしながらも、大晦日の晩になれば家族が集まり、落ち着いた雰囲気の中でいよいよ年が改まる清々しさを感じていたもの。
今やコンビにはもとよりショッピングセンターも元旦から開いているし、消費喚起に一年中催事の連続で殺伐としている。だからこそ年末年始だけは静かに、年に一日ぐらいは日本中が静かになる日があってもいいように思うのだが。祓い清まる正月は普通の休みとは違うのだから。
手前の主張はともかく、当地の温泉は年末年始は好調で、去年の能登半島地震の影響で落ち込んだ客足も12月からは戻ったようで、ぜひこの調子が続いてほしい。
今年の冬も里には雪が少なく観光にも普段の暮らしでも活動しやすく都合はいいのだが、北陸育ちにしてみれば拍子抜けというか、どうも季節の節目が感じられない。「お正月には凧あげて独楽をまわして遊びましょ」と童謡があるけれど、子供のころは「正月に外で遊べるわけがないのに。この歌間違っているぞ」と本気で思っていた。そのくらい正月の積雪は当たり前だった。だから冬に小春日和があったり、雪がないのに気温だけが下がると余計に寒さがこたえる。ちょっと変な言い方だが、雪が積もると暖かいのだ。雪と向き合う覚悟が決まるというか、風がなく深々降った朝などは、空は暗くても町全体が雪の白さで明るくなって、包まれるような暖かさを感じる。
自然の移ろいをいつも身近に感じられるのがこの町の良さ。今年の願いとすれば、天災や異常気象が無く、四季折々に鮮やかな表情を見せてくれる昔からの一年であってほしい。そうすれば、自然に寄り添いながら豊かな伝統文化を育んできた、この町ならではの「加賀の歳時記」をお伝えできると思う。
(2008.1 M.O)