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巨万の富を築いた北前船交易
柴山潟からみる白山
北前船は江戸中期から明治にかけて日本海と瀬戸内海を結び、大阪・北海道間を積荷を売買しながら回った買積船である。
北海道からは昆布やニシンを、関西からは生活物資を運び、立ち寄る日本海側の港で商いを繰り返しながら船主たちは巨万の富を築いた。1航海1千両ともいわれた。船主の多くは北陸地方から輩出し、なかでも加賀市の橋立町は明治・大正期に「日本一の富豪村」といわれるほど栄えた。橋立町では当時の船主たちの住まいが保存され、その豪勢な生活ぶりの一端をいまも垣間見ることができる。
北前船船主の暮らしぶりをかいまみる
北前船の里資料館・展示品
橋立町の一角に、高い木塀に囲まれた建物「北前船の里資料館」が建っている。玄関口には赤く錆びてあちこち朽ちた高さ2メートル余りの北前船の錨が飾られている。十年余り前、加賀市内のダイバーが能登の沖合に沈んでいたのを見つけ、引き揚げて資料館に寄贈した。
この資料館は全国でも珍しい北前船をテーマにした専門資料館である。旧船主酒谷長兵衛が明治11年、財力にまかせて建てた邸宅を整備して一般に公開している。建物の主要な柱の床下部分はすべて銅板が巻かれ、30畳大広間の柱にはケヤキの8寸角、梁には巨大な松、座敷に通じる正面大戸には秋田杉の1枚板が使われている。邸内には船模型、船箪笥、引札、遠眼鏡、和磁石、各種古文書など200点余りの資料が展示され、往時の海運の様子が一目でわかる。
北前船交易の財力がつくりあげた名園
北前船の里資料館から3分ほど歩いたところにある蔵六園は船主邸の庭園を公開している。この建物も北前船の経営で多額の富を築いた酒谷長蔵が所有していたもので昭和61年から一般公開されている。贅を尽くした各種の調度品と全国各地の銘石を配した庭園は一見に値する。庭園とは別に野の草花が咲き誇る庭を眺めながら抹茶で一服するのもいい。思いっきり深呼吸でもしたくなる。旅の疲れを吹き飛ばしてくれるひと時だ。
加賀随一の風光明媚なスポット「加佐岬」
かつての船主たちの栄華に思いをはせた後、案内板にそって15分ほど歩くと海沿いに出る。頬をなでる潮風、波の音が心地よい。歩いてさらに30分、加賀海岸でもっとも海に突き出している加佐岬に到着。美しい緑の松林に白亜の灯台が包まれて素晴らしいコントラストを描く。高さ30メートルの断崖から見渡す広大な海は絶景だ。
海岸線に沿って遊歩道も整備されている。沈む夕陽、濃いエメラルドグリーンからブルーに変化する海の色、風にそよぐ季節の草花、クロマツの林、海の香り。素晴らしい自然との触れ合いは訪れる人たちを飽きさせない。
隆盛を誇った港町を歩く
瀬越橋からの眺め
橋立港
橋立にはとれたての魚を食べさせてくれる料理屋が軒を連ねている。ぶらり一人歩きして立ち寄ってみるのもいい。食事の後、時間が許せば、大聖寺川河口の瀬越町も訪れたい。橋立町から車で15分。瀬越町もまた、かつては北前船の船主たちがその栄華を競った港町である。一般公開はされていないが川幅を増した大聖寺川に面して大家邸が建ち、近くの松林にある同家の墓地は普通の大名を凌ぐ大きさを誇り、訪れた人たちを驚かすほどだ。